はせこうブログ

読んだ本、日常の体験から考えた内容を纏めていくブログです。宜しくお願いします。

モンゴル2013 その2

さて、本日はモンゴルで垣間見た環境問題について考えてみたいと思います。今回見学した環境問題は、鉱山開発による水資源の現象についてです。モンゴルには金鉱山があり、山岳部で金の開発が行われると、金の精錬のため大量の水が使われたり、一度開けた穴を塞がない環境配慮が少ない開発が多いため、下流の川が干上がってしまうという事態になります。非常に分かりにくい写真で申し訳ないですが、以下の写真をご覧下さい。

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この写真の真ん中の部分に青い部分が見えると思います。実はこの写真の中央部分にはずっと川が流れているのですが、青い部分のすぐ下で、鉱山開発のために水がせき止められています。その結果青くなっている所に水がたまっています。このように川がせき止められる事態が頻発した結果、たった五年で琵琶湖と同じくらいの大きさの湖が干上がってしまいました。その結果緑が失われ、家畜が減ったり、砂漠化がいっそう進行したりとたくさんの環境問題が引き起こされました。

 

 

モンゴルは1990年に社会主義から民主主義に変わっています。社会主義から民主主義に変わるということは良いことのように感じられますが、鉱山開発だけに焦点をあてて考えれば、そうとも言えなかったようです。社会主義の時代、独裁体制を保っていたモンゴル人民革命党は鉱山開発の結果、遊牧民の生活が脅かされているという事態に対し、直ちに鉱山開発を全面禁止するという対応を行ったそうです。しかし、民主主義に変わった後は、政治家への賄賂や違法採掘が活発になってしまいました。その結果、川と湖が干上がってしまったという訳です。現在、鉱山の採掘を行っているのはロシアやウクライナの企業が多いということですが、発掘された金の行き先は全て分かっている訳ではなく、日本にも流れ込んでいるかもしれないとのこと。この光景を見せながら、教授は違法な資源採掘の現状や資本主義の限界ということについて話してくれました。鉱山開発は開発が終わったあと、掘った穴をきちんと埋めればもっと環境への負荷を少なくできるということです。しかし、それにはお金がかかるため、穴はほったらかしにされます。そのため下流に住む人々の生活は脅かされていきます。

 

私は社会主義が素晴らしいと思っているわけではないし、資本主義をけっこう気に入っている人間ですが、同時に、現在の世界のシステムはそう長く続かないだろうな、とも思っています。例えば原子力発電、原子力発電を行うと、核廃棄物が生まれるわけですが、この核廃棄物から放射能が消えるのには約10万年かかるということです。イエス・キリストが生まれてからまだ2000年しか経っていないのに、世界は激変しました。一体誰が10万年後の世界を予測できるのでしょうか?「10万年」という単位は非常に怪しい言葉です。人間は往々にして数が大きくなりすぎると、意味不明になって思考停止する癖があるように思います。収入が月10万円なのに、支出が月20万円の生活は維持できるわけがありません。しかしながら、収入が年間で約45兆円なのに、支出が約90兆円という国は、なぜか維持できるような気がするから不思議です。きっと自分には理解できない何らかの要素が働くので、これでも大丈夫だと、ついつい思ってしまい、そこから先は考えなくなります。10万年後の世界もよくわからないし、考えてもしょうがない気がするので何もしないのです。

 

 

しかしそれが立派な態度かと言われれば違う気がします。僕たちは僕たちにできる限界で未来に対して責任を負う必要があると思います。その意味では小泉元首相が原発ゼロを唱え始めた理由も少しは理解できます。日本にいると環境問題について考える機会は少ないですが、私たちは目を背けることなく、しっかりと未来に対する責任を全うしていかなければならないと思います。